今月の花だより（2025年7月11日）
現在開花している植物
温室
オオハマボウ
和のハイビスカス。アオイ科の常緑高木。沖縄では「ユウナ」、「ヤマアサ」と呼ばれます。樹皮から繊維をとったり、防風林として利用される有用な植物。朝、オクラに似たレモンイエローの明るい花が咲き、夕方になるとオレンジ色になり、やがて散ります。
オクナ・セルラタ（実）
南アフリカ原産。オクナ科の低木。花が終わって、赤く色づいたガクと中心部の黒く熟してきた果実の色合いから「ミッキーマウスの木」の別名があります。そう聞くと、ミッキーマウスっぽい実がないか探してしまいますね。
シャボチカバ（実）
ブラジル原産のフトモモ科の常緑高木。幹に巨峰のような果実をつけています。「幹生花/幹生果（かんせいか）」という植物用語があり、木の枝先ではなく、幹に直接花が咲き、実をつけます。チョコレートの原料であるカカオやパパイヤなど、熱帯や亜熱帯に暮らす植物に時々見られる特徴のひとつです。高いところに手の届かない動物に受粉を手伝ってもらおうという作戦なのかな？収穫しやすそうな果実ですね。
アデニウム（砂漠のバラ）
前回もご紹介しましたが、現在満開です。こちらは乾燥した砂漠地帯で生きるため、根や茎に水を貯めて生きており、あまり水やりをしなくても大丈夫な植物です。みなさんはこまめな水分補給を心がけてくださいね。
グラスチューブ（つる性植物・鉢物のコーナー）
ホヤ
熱帯アジアを中心に分布するキョウチクトウ科のつる性植物。茎から気根（きこん）という根を出して、他の樹木や岩に絡みつきながら生長します。有名な「サクララン」をはじめ、200種ぐらい品種があります。写真は「ロイヤルハワイアンパープル」という品種。ホヤは不思議な名前です。海産物のホヤ（海鞘）、ランプのホヤ（火屋）、いろいろありますが、植物の名前は人の名前である場合が多く、こちらもイギリスの植物学者トーマス・ホイ（Thomas Hoy）1750-1822にちなむそうです。
トケイソウ「インセンス」
南米原産のつる性植物。500種以上の品種があるらしく、こちらは花に香りがある品種です。和名は花を時計の文字盤に見立てて、この名がついたとされます。英名は「パッションフラワー（passion flower）」パッションは「情熱」ではなく、「キリストの受難」を意味するそうです。めしべとおしべを十字架に架けられたイエス・キリストに見立ててあるそうです。
展示庭園
ハマナデシコ（中庭にて）
秋の七草のひとつ「ナデシコ(カワラナデシコ)」のなかまで、海岸に自生するので、この名がついたとされます。丈夫なので、フジナデシコの名で園芸品も流通しています。中庭のふわふわドーム近くの一角が花壇のように色鮮やかです。
ラセイタソウ(中庭にて）
北海道南部から紀伊半島にかけて、太平洋側の海岸に自生するイラクサ科の多年草。ぶあつい葉をラセイタ（ラシャ）という毛織物に見立ててこの名がついたとされます。エンボス加工を施したような凸凹した独特の手触りがあります。
エノキ（エントランス付近にて）
アサ科の落葉高木。木へんに夏と書いて、榎(エノキ)。神社やお寺にも巨木を見かけます。エントランス近くの芝生に大きな緑陰をつくり、涼しそうです。かつては、街道沿いに1里塚として植えられ、木陰で旅人が休んだりする日本版旅人の木だったのですね。
タブノキ(エントランス付近にて）
クスノキ科の常緑高木。氷見市の木で、市内の公園などによく植えられ、万葉集で詠まれた「つままの木」の名札がつけられているところもあります。当園はエントランス入口付近と少し離れたところに万葉集の歌碑と並んで大きな木が目立ちます。アボカドの近縁種らしく、よく見ると,アボカドを小さく、丸くしたような実が見えます。見かけたらよく観察してみてくださいね。
ハマナス（実）道路沿いにて
初夏にたくさんの花を咲かせていたハマナス。花が終わり、実をつけています。実はナシ（梨）に似た味がするので、「ハマナシ」→「ハマナス」になったという説があります。北海道のアイヌ民族のソウルフードに「オハウ」という野菜や肉、魚などを煮込んだスープがあります。いろんなレシピがあり、ハマナスの実を乾燥させて、使ったりもされるそうです。ドライハマナスもなかなか重宝しそうですね。
担当者からひとこと
1年を通して、時々、ハマナスは咲いていますか？と聞かれることがあります。名の通った海浜植物なのですね。氷見では、花は5月から6月にかけてが、開花のピークで、現在は、ミニトマトぐらいの大きさの実をたくさんつけています。いわゆる、ローズヒップですね。夏でも、秋でも、花を咲かせているマイペースな株も時々見かけます。咲きたいときに咲けばいいのです。植物も人と同じで、いろんな生き方がありますね。